十勝の事業創発につながる企業の取り組みを、LANDスタッフが取材し掲載する「LANDSCAPE」!
十勝・芽室町で、株式会社トーアパックの専務として、トーアパックの帯広事業所を切り盛りしている浦野さん。本業の包装資材や機械の卸売だけでなく、奥様の詠子さんとスタッフの生天目(なまため)さんとともに、十勝の森にたたずむ、大部分をDIYで作り上げた「超」自然派ヴィラ「えぞもり」を運営しています。そんな浦野さん方に、「えぞもり」の魅力や、本業との関わりについてお話を伺いました。
株式会社トーアパック 浦野 昭洋さん
プロフィール
浦野 昭洋さん(うらの あきひろ) 専務取締役
浦野昭洋さん(うらの あきひろ) 株式会社トーアパック 専務
1981年、北海道・釧路市生まれ。高校卒業後、上京。調理師免許を取得後、飲食業界で4年働いたのち、Uターンし、(株)トーアパックに入社。札幌の営業所の立ち上げに携わり、7年間札幌で勤務。その後、帯広営業所を立ち上げ、現在は帯広市を拠点に事業を展開している。
東京での飲食業経験を活かし、ヴィラの運営へ
はじめに浦野さんのこれまでの経歴を教えていただけますか?
(浦野昭洋さん、以下「昭洋さん」)私は1981 年の 釧路生まれで、高校卒業後、東京で調理師免許を取って、4年間飲食の仕事をしていました。その後、釧路に戻ってきて父が創業したトーアパックに入社し、釧路に1年ほどいたのち、札幌の営業所立ち上げに携わりました。そこで7年間勤務したのち、帯広に営業所を立ち上げて、そのまま11年が経ったところです。
「ヴィラ えぞもり」でも本格料理を提供しているそうですが、当時の経験があったからということですね。では、今日の本題、「ヴィラ えぞもり」についてのお話をお伺いしたいのですが、こちらはどういう宿泊施設なのでしょうか。
(昭洋さん)えぞもりは「簡易宿所」として許可をいただいている施設で、1日1組限定の完全予約制で、大人 4 名まで宿泊できます。料金が年間変わらず、1 泊 2 食付きで大人が2万円、子どもは、低学年以下までは無料で、小学4年生から15歳までは大人料金の半額となっています。現在、えぞもりを立ち上げてから3年が経ったところです。
えぞもり施設内、外観の様子
1日1組限定なんですね!なぜ 1 組限定という営業形態を取られたのでしょうか?
(昭洋さん)この施設を運営する上で、私たちがきちんとサービスを提供できる範囲内が1日1組だからです。限定することで宿泊していただくお客様に対して100% のサービスがご提供できると考えています。
なるほど。他に「えぞもり」のオススメや特徴は何かありますか?
(昭洋さん)オプションサービスですが、やはりテントサウナですね。大自然の中で入るサウナは最高です。それと「朝ヨガ」もおすすめです。この施設の近くにヨガのコーチをされている方がいらっしゃるので、その方に依頼して来てもらい、大自然の中でヨガを楽しむことができます。その他の特徴として、この施設はペットと一緒の宿泊がOKです。室内でもお外でもペットと遊ぶことができます。ペットOKの宿泊施設はなかなかないので、ペットと一緒にお泊まりがしたい方にも喜んでいただいています。
他にも、焚火もできますし、バーベキューセットの貸し出しも行っているので、食材をご持参いただいて、バーベキューを楽しむこともできますよ。
どれもとても魅力的なサービスですね!えぞもりではお調理も提供されていると思うのですが、お料理はお二人(浦野さんと生天目さん)で作られてるんですか? また、どのようなお料理を提供していますか?
(昭洋さん)夕食は我々2人で作っていますが、朝食は私の妻がメインで作っています。夕食はバーベキュープランと、創作スペイン料理を選ぶことができます。創作スペイン料理はパエリアやピンチョスが中心で、季節の食材を使用しています。朝食は和食と洋食を選択でき、どちらも季節に合わせた食材を使っています。
家族やペットと、ビジネスでも とにかく自由に使える「えぞもり」の魅力
オープンしてから今までにどれくらいの方が利用されているのでしょうか?
(昭洋さん)1 年目はプレオープン期間と位置付けてスタートしました。本格的に一般公開を始めたのは2023年の 4 月なのですが、これまで約60 組くらいの方にご利用いただいています。今は本格的に営業してから丸1年が経ったという感じです。
主にどのような方が利用されているのでしょうか?
(昭洋さん)やはり子ども連れのファミリーでご利用いただくことが一番多いですね。ただ、他にもビジネス目的で素泊まりしていただいたり、道外の都市部から仕事関係で来られる方もいらっしゃいます。
周知はホームページやインスタなどでされているのでしょうか。
(昭洋さん)そうですね。インスタグラムやホームページをメインに発信しています。 あとは口コミですね。有難いことに泊まっていただいたお客様からの紹介で泊まりに来られる方がたくさんいます。
施設のことについてもお聞きしたいのですが、えぞもりの宿泊施設はコンテナで作られていると思うのですが、なぜコンテナを活用したのでしょうか?
(昭洋さん)移動できるという点が、最大のメリットですね。将来的に今の場所を違う用途として利用する場合にコンテナをクレーンで移動し別の場所で別の事業を展開することも可能です。そこでコンテナと簡易基礎という設計にしました。
左:昭洋さん、右:生天目さん
2つのコンテナでできているヴィラ「えぞもり」はほとんどがDIY
そうなんですね。このコンテナは、最初はスケルトン状態のものをDIYで作ったと聞いておりますが、どこまでを自分たちでDIYで作ったのでしょうか?。
(昭洋さん)トイレや洗面台などの水回りと、アメニティ関連、ベッドやキッチン、仕切りなどを全部自分たちで整備しました。生天目さんが電気工事の資格を持っているので電気も自分たちで引きました。6mのコンテナを 2 連結させ、ボイラー設備と配管工事は業者の方にお願いして、その後は全て全部自分たちで作り上げていった感じです。
すごいですね!DIYの域を超えてますね(笑)。では、「今後この宿泊施設をこうしていきたい」や「こういうお客さんに利用してもらいたい」などといった展望があればお聞きしたいです。
(浦野詠子さん、以下詠子さん)都会に住んでいる方々はこのような自然の中での交流の機会がすごく少ない方が多いと思います。なので、自然の少ない都会で生活していて、自然と触れ合いたいというファミリー層がターゲットですね。お子様が来ても楽しめるように、いろいろアスレチックコーナーなども作ったりして遊べるような雰囲気も作っています。
確かにこの自然の中でゆっくり過ごせるのはとても気持ちが良さそうですね。
(詠子さん)自然の中でゆっくり子育てしたいということで、出産してから赤ちゃんを連れて数日間連泊していってくれた東京在住の方もいらっしゃいましたね。その方は出産前にも1回泊りに来られていました。
実際に利用者のほとんどは地域外の方が多いのでしょうか?
(昭洋さん)実は、今は意外と十勝に住んでいる方の利用が多いんです。去年は十勝毎日新聞に載せていただいたので、圧倒的に帯広市の方が多かったです。 実際のところ8 割は道内ですね。その中でも帯広市が6割で札幌市1割、釧路市1割といったところです。なので、今後はもっと地域外の方にもたくさん利用していただきたいです。
アウトドアグッズ用品の代理店としても展開
帯広市の利用者の方が多いんですね!距離は近くてもやっぱり空間が非日常的で魅力的だということですね。今後構想している新たな取り組みがあれば教えてください。
(昭洋さん)アウトドアを取り扱っているUPI(株式会社アンプラージュインターナショナル)さんというアウトドアグッズを取り扱っている企業があるのですが、そこの社長さんがよくえぞもりに泊まりに来てくれていて、その繋がりもあり、今後はえぞもりでもUPIさんのアウトドアグッズを置くことになりました。今年から販売スペースを作るところです。えぞもりとも親和性のあるグッズをたくさん置く予定ですので、さらにえぞもりでの宿泊を楽しんでいただけると思います。
ここで購入したアウトドアグッズをそのままえぞもりで使用することができるというのはいいですね。販売スペースができるのが楽しみです。
御社の主軸事業でもある包装資材の卸売事業についても教えてください。
(昭洋さん)弊社はえぞもりとは別で食肉向けの真空資材と、機械の販売・メンテナンスが事業の主軸です。お肉関係の資材以外に水産関係のフィルムなども取り扱っています。販売先としては道内がメインですね。
御社の取り扱っている商品として特徴的な包装資材があれば教えてください。
(昭洋さん)「スキンパック」という特殊な包装形態があるんですが、包装時に形を崩さず非常に綺麗に見える資材です。あと、今メインで取り扱っている食肉用の収縮フィルムは、真空包装機にセットする際、フィルムを同時に重ねてセットしてもフィルム同士がくっつかず、包装することができます。それができるのは、当社が取り扱っている収縮フィルムしかないんです。
左:収縮フィルム、右:ドリップシート
包装資材:スキンパック
最後にこの記事を見ている方に向けて何かメッセージがあればお願いします。
(昭洋さん)弊社では、今一緒に働いてくれるスタッフを絶賛募集しています。弊社の取り組みに興味のある方で、特に「えぞもり」の調理補助をしていただけるスタッフがいれば非常に嬉しいです。興味のある方はぜひご連絡ください。
(詠子さん)えぞもりでの宿泊中の過ごし方は、お父さんはワーケーションをしながら家族はゆっくり過ごすということもでき、お仕事でもプライベートでも両方使えます。この記事を見ていただいている方で、自然の中でゆっくり過ごしたい、家族やペットと楽しみたいという方は、ぜひご利用いただきたいです。
左から浦野詠子さん、生天目さん浦野昭洋さん、米田さん
編集後記
主軸事業である包装資材の販売から宿泊事業への大胆な事業展開を果たした「えぞもり」におけるこのチャレンジは、非常に印象的でした。十勝の豊かな自然を背景に設けられたこの施設は、訪れる方々に心地よい空間を提供しており、地域特有の魅力を活かした事業展開は、多くの宿泊客から高い評価を受けていました。
ワーケーションを含むさまざまな用途にも適しているため、今後も多くの人々が訪れるだけでなく、十勝の自然と調和したこの事業展開は、地域に新しい活気をもたらすことでしょう。今後もえぞもりを活かした事業拡大を構想中とのことで、今後の展開が楽しみです。