十勝の事業創発につながる企業の取り組みを、LANDスタッフが取材し掲載する「LANDSCAPE」!帯広に根差し、木造建築の伝統を現代に息づかせる住計画FURUTA。その第三世代の継承者である古田義貴社長にインタビュー。古田社長が語るのは、三代にわたる経営の歴史と木造建築への深い情熱、そして地域社会への貢献でした。注目は、帯広に新たな息吹をもたらした日本最大級のサウナ施設「5737コンナサウナ」。経営に対する熱い思いとサウナ愛溢れる記事をどうぞ!
株式会社住計画FURUTA 古田 義貴さん
プロフィール
古田 義貴さん(ふるた よしたか) 代表取締役
1982年生まれ。帯広市出身。帯広三条高校卒業後、北海学園大学に進学。大学卒業後の2014年に株式会社住計画FURUTAに入社。2019年から代表取締役社長に就任。2023年4月には、広さ4379m²という国内最大級のサウナ拠点「5737コンナサウナ」をオープン。
帯広の心地よい暮らしを支える、古田社長の木造建築への情熱
まず古田さんご自身のキャリアについてお聞かせください。
(古田さん)私は1982年生まれの帯広市出身です。大学を卒業後、2014年に祖父が創業し、父が受け継いだ住計画FURUTAに入社しました。「家が足りないので、家を建ててほしい」という日本の成長期を体験した世代です。ただ、経営を任された現在は、人口が減っていく中で、家が余っている時代。それでも「家がほしい」という方は大勢います。「家を持つ」そんな夢を叶えるのが私たちの使命です。
住計画FURUTAの主な事業概要や事業に対する想いについて教えてください。
(古田さん)弊社は、十勝・帯広の暮らしを豊かにするため日々励んでいます。木造住宅の構築と革新に尽力し、地域社会の一員として成長を目指しています。住計画FURUTAは、帯広・十勝地域の人々に豊かな暮らしを提供するために存在する工務店です。
新築を建てたいと希望する方が賃貸ではなく家を建てる理由がわかりますか?それは、賃貸ではできない豊かな暮らしをするためと私は考えています。そのためにも、私たちはデザインや断熱性能だけでないこだわりを大切にし、家づくりの面白さや魅力を追求してきました。
私たちは木造建築においては、他社に負けない技術を持っていると自負しています。家は生活をするうえで欠かせないものであり、家族が集い、団欒し、明日への生命を繋ぐ場所。その場所を安全・安心な場所でなければならないというのが私たちの考えです。
木造にこだわるのは、北海道帯広市の工務店として、環境負荷を考えた結果です。木造建築の可能性は無限大で、森林整備・環境負荷低減に貢献することができます。
1964年に大工集団として創業した祖父からの歴史を受け継ぎ、地域の皆様やスタッフのおかげで今の私たちがあります。これからも地域に根差した工務店として、帯広・十勝の暮らしを支えていきたいです。
サウナ事業の始まりと古田社長の想い
なぜサウナ事業をはじめたのか教えてください。
(古田さん)サウナ事業を始めたきっかけは、幼少期の思い出に深く関係しています。私の家には昔からサウナがあって、祖父も父も温泉とサウナが大好きな家庭に育ちました。私にとってサウナは家庭と生活の一部でしたね。父からはよく「サウナに入って温まれ」とよく言われていました。
ただし、父はコミュニケーションを取るのが得意ではない人でしたから、日常的に、子どもの僕たち(私と弟)ともほとんど話をしませんでした。それでも、週に一度のサウナの日は違ったんです。その日だけは、父がよく話すんです。「学校はどうだった?」「友達とはどうだ」と聞いてくれたりして、サウナが数少ない父とのコミュニケーションの場だったんです。
水風呂の入り方をレクチャーしてもらうなど、父との絆を深める唯一の場所でした。サウナの力は強く、外気浴用のウッドデッキが完成し、そこで父や弟とポカリを飲んだり、アイスを食べたりするのも楽しみの一つでした。サウナは家族が一緒に過ごす、大切な時間だったんです。
そのため、サウナ事業を始めたきっかけも幼少期の思い出が大きな影響を与えました。私にとって、サウナはただの癒しの場所以上の意味があり、「サウナを通じたコミュニティを作りたい」。そんな思いをもとにサウナ事業を始めました。
「5737コンナサウナ」は自由を楽しむ新たなサウナのカルチャースポット
ここまで大きなサウナ施設はあまり見たことがありませんが、これほどまでに大規模なサウナ施設を設立された思いをお聞かせいただけますか?
(古田さん)コンナサウナはサウナ施設としてだけではなく、多くの利用者にとってコミュニティの場として使ってもらいたいという思いがあるからです。また、私たちはサウナ文化が根付いたフィンランドのように、十勝でもサウナ文化の普及したいと考えています。そのためにもコンナサウナを大規模に設立しました。それにせっかくやるなら大きくやりたいですしね。
コンナサウナの施設について詳しく教えてください。
(古田さん)概要を解説すると、国内最大級のサウナ拠点として、4379m²の敷地に、自然と調和するこだわりの空間を作り上げました。各薪のサウナコンテナ8基はそれぞれに異なる内装を施し、更には貸切専用の4基も用意しています。なんと言っても、最深部が190cmにも及ぶ水風呂は、他では味わえない体験を提供できると自負しています。熱源には薪を使用し、自社工場で出る端材も活用しています。
サウナの温度はセルフロウリュで調整でき、それぞれ異なる温度設定で発汗を促進し、リラックス効果を高めるんです。住宅街でありながら、30脚の外気浴イスを設置し、木々に囲まれた自然体験ができるのがうりです。心地良い風と十勝の青空の下でのリラクゼーションは、まさに至福の時間じゃないですか?
至福の時間!その通りでしょうね。ちなみに施設内では食事もできるのでしょうか?
(古田さん)食事もお楽しみいただくことができます。例えば、夏であれば、焚火スペースでのバーベキューや、お酒と相性ぴったりのおつまみメニューなども提供しています。また食事だけでなく、水着などのレンタルも行っていますので男女問わず手ぶらでお越しいただければと思います!
サウナから地域活性化へ、コンナサウナの将来ビジョンとサウナの可能性
現在サウナブームとも言われていますが、コンナサウナの今後についても教えてください。
(古田さん)確かに現在は、空前のサウナブームで、十勝も「サ国」と銘打って、観光にも力を注いでいます。ただ私は、サウナは、いつの時代も自由であるべきだと考えています。昨今、サウナを取り巻く環境は、サ道やサ法といったルールに囚われ、少し息苦しさを感じる方もいるかもしれません。
でも、サウナはもっと自由に楽しむものだと思います。都会の喧騒を忘れ、自分だけの時間を満喫できるそんな空間を提供したい、それが「コンナサウナ」のコンセプトです。私たちのサウナは、誰もがリラックスできる場所でありたいと願っています。ルール無用で楽しんで欲しいんです。サウナのある暮らしをぜひとも体験してほしいです。
また、一過性のブームだけで終わらせず、十勝のサウナ文化へと成長させていきたいと考えています。そして、全国のサウナファンが十勝に集まればと思っています。
最後に今後の展望を教えてください
(古田さん)サウナを暮らしの付加価値と捉え、サウナ付き住宅の需要拡大を目指しています。また、環境への配慮として、薪を燃料とするサウナの普及にも努めていきたいですね。今後、サウナは生活の質を高めるアイテムとして、「一般住宅にもサウナがある」そんな文化を作っていきたいです。多くの人は家にサウナを設置できるという認識をまだ持っていません。ここが大きなポイントで、実際は庭にも別棟としてサウナを作ることができるんです。この認識を広げることが、私たちの使命の一つですね。
さらに、サウナ文化を育てることで、次世代にもそれが当たり前のように根付いてほしいです。熱源に薪を使うことにこだわるのも、日本が森林国であることと、私たちの木造建築に対する情熱からです。北海道の豊かな木材を活用し、林業を支える一助となれたらと考えています。間伐材を燃料として使い、サステナブルな循環を生み出すことが大切だと思っています。
また、農家の方々へも積極的に提案していきたいです。農作業の後にリラックスできるサウナ、それがコミュニティの場となり、新しい出会いの場にもなるかもしれません。1つのアイディアとしてサウナで婚活というのも面白いと思っています。
今後は、サウナを活用して、地域の活性化にも貢献していきたい。それが展望です。
編集後記
古田社長は、サウナに対する深い愛とそれを地域社会に還元する強い志を持っていました。「5737コンナサウナ」は、古田社長の幼少期の記憶から生まれた事業であり、今後は十勝の魅力向上やコミュニティ形成に寄与することでしょう。十勝とは切っても切れない関係の森林保護をしっかり考えつつも、十勝帯広地域の将来を患う古田社長。その熱意はサウナ文化の根付く未来を予感させます。地方創生に貢献し、人々の暮らしに根ざした企業としての役割を追求する古田社長のビジョンに、私たちも大いに期待したいです。