北海道帯広市の事業創発拠点「LAND」

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小野寺 智美さん

#3「十勝を舞台に、理想的な自分の実現に向けて、それに寄り添うような服を提案する」

十勝の事業創発につながる企業の取り組みを、LANDスタッフが取材し掲載する「LANDSCAPE」!

今回は、十勝・芽室町で、自然素材を用いた洋服ブランド"Sjunde himlen.(ヒューデ・ヒムレン)"を展開し、服の製作・販売だけでなく十勝を発信する展示会の企画や暮らしのイベント企画・運営を行なっているoto designの小野寺さんにお話を伺いました!

oto design 小野寺 智美さん

プロフィール
小野寺 智美さん(おのでら ともみ) oto design代表

釧路市生まれ。幼少期から高校卒業までを帯広市で過ごす。札幌ファッションデザイン専門学校を卒業後、2014年に富良野市でアトリエショップをオープンし、洋服ブランドの運営をスタート。2018年から帯広に拠点を移す。2020年には芽室町で店舗をオープン。

※小野寺さんが所属している十勝〇〇婦人部人材育成グループの取材記事はこちら

"十勝にはお互いに応援しあえる横のつながりや、安心感がありながら挑戦し続けられる環境がある"

――ブランド名の"Sjunde himlen."にはどのような想いが込められているのでしょうか?

「スウェーデン語で"Sjunde"は『7』、"himlen"は『空』を意味します。『7番目の空』という意味で、1から始まって7番目辺りにある遠い理想的な空・理想的な自分にいつか辿り着きたいといった想いに寄り添うような服でありたいという想いを込めました。

――小野寺さんは、「自然素材を使い、着る度に馴染み、何年も長く着られる洋服」を提案することで、より多くの方にこのブランドを知ってもらい、「洋服を大切に扱う暮らしのきっかけ」も一緒に届けたいといいます。

「私自身、高校卒業後は札幌から富良野、帯広と移ってきたのですが、環境や年齢に合わせて生活のスタイルが変わり、自然素材を使った服を着るようになってから日々の暮らしに向き合うようになりました。服を作り始めた当初は、富良野の自然豊かな風景に合うような、自然素材を使った服を製作していたのですが、十勝に移って来てからはまた富良野とは違った景色が広がっていて、それに合わせて服のデザインも富良野より都会的なものが少し増えたと思います。十勝を舞台に、十勝らしいブランドにしていきたいと思っています。」

「私は気になった人には自分から直接会いにいきます。十勝には魅力的な人がたくさん溢れているんですよね。今は芽室町で活動を行なっていますが、同世代で素敵な方がたくさんいますし、『衣食住』という単位で一緒に活動していきたいと思える人が何人も浮かんできます。少し前に、足寄町の『はたらくものづくり村』に数日間滞在して作業をしていたのですが、この施設を運営している木村さんともお話しする中で、共鳴する部分がたくさんありました。十勝のお互いに応援しあえる横のつながりがあることや、安心感がありながら挑戦し続けられる環境がとても良いと思っています。このことはあの人に相談しようといったことがすぐに浮かびますし、その方に仕事を依頼できる幸せというのもありますよね。」

"暮らしの中にゆとりを見つけるように余白を見せるというコンセプト"

――小野寺さんが目指すのは、「顔の見えないSNSの世界とリアルを行き来して楽しむ、現代ならではの楽しみを体感できる世界」だといいます。洋服ブランドを通じてのお客さんとのコミュニケーションや芽室町でのイベント開催について、どのような想いを持たれているのでしょうか?

「SNSでのコミュニケーションについては、Sjunde himlen.のLINE会員のコミュニティがあるのですが、その中でお客様からこんな商品が欲しいといったような提案をいただくこともありますし、全国各地のお客様と交流できる場として大切にしています。インスタのDMでも、お客様から直接服の感想などの連絡をいただくこともありますね。」

「私が主催するイベントでは十勝や札幌の作家さんを呼んで、そこにしかないマーケットを作りたいという想いから、今年は芽室町の新嵐山の森の中で行いました。また、イベントでは、暮らしの中にゆとりを見つけるように、余白を見せるというコンセプトを大事にしています。2020年の夏からこれまでに4度開催したのですが、コロナ禍でイベントが次々となくなっていく中、こういう時にこそ立ち上がるのが事業主だろうとの想いから始めたものです。」

森の中でのイベントの様子

――小野寺さんは、当財団の「R2年度十勝人チャレンジ支援事業」(現「とかちビジネスチャレンジ補助金」)で、十勝ロケーション背景のカタログの作成、アトリエショップのオープン、十勝作家のマーケットイベント開催、QRコードを読み込んでその場でインターネット購入ができる展示会の開催(道内4箇所)といった活動を行われていましたが、その活動は現在の事業にどう繋がっているのでしょうか?

「とってもプラスになってます。当時は出産の関係もあり、実は一時的に活動を止めていた時期だったのですが、再始動のタイミングで補助金事業に採択されたこともあって、活動の幅が広がりました。カタログの撮影にしてもそれまでは札幌で撮影していたのですが、十勝にも素晴らしいカメラマンやデザイナーがいるんだと気づくこともできましたし、道内を周る展示会の開催などにも活用し、より多くの方々と出会うことができました。とかち財団・LANDの方からは、どういった人と協力していったら良いかの具体的なアドバイスや、自分の活動を見ての事業アドバイスをいただき、改めて自分自身の位置や想いを再確認できるようになりました。私の事業にとってステップアップできた機会だったと思っています。」

「R2年度十勝人チャレンジ支援事業」で作成したカタログ

芽室町にあるHIMLEN 07 store.

"自分がどういう人間になっていきたいのか、この服は誰が作ってくれたのかという想像力を掻き立てる服を作っていきたい"

――ファストファッションの普及や、服をサブスクでレンタルできるようなサービスが登場するなど、ファッション業界も変化が激しいと思いますが、そのような動きについてどう考えていますか?

「もちろん私自身、ファストファッションを着ることもあります。ただ、ものが溢れる時代に生まれ、たくさんの選択肢がある中で、自分が作るべきものはなんだろう?と考えました。長く着られる服だから、これはあの時の勝負服だなとか、あの発表会の時にはこれを着たなとか、そこに思い出が乗ることで大事な一着になっていくと思うんです。服という人に長く寄り添うものであるからこそ、これから生きていく上で自分がどういう人間になっていきたいのか、そしてこの服がどこから来て誰が作ってくれたのかという想像力を掻き立てるものを作っていきたいと考えています。

――十勝本別町産の玉ねぎの外皮と阿寒湖温泉の温泉水で洋服の染色を行なっている合同会社ノーサムとのコラボを行ったり、本別町の新規就農者の方とコラボした十勝産亜麻を使ったリネン素材の開発に向けて動き始めたりしているなど、様々なコラボも行なっていますが、今後の事業展開についてはどうお考えですか?

「元々自分だけのオリジナル素材で服を作りたいといった思いで素材の染めを依頼したのですが、ノーサムさんは十勝を中心に活動されていることや、ものづくりの話を一緒にできたことが嬉しかったですね。今回オレンジ色と茶色の2色に生地を染色してもらっていて、本当に綺麗に仕上げていただきました。このコラボで新たなクリエイションの段階に入れたんじゃないかなと思っています。それから、彼らが『この生地にはこの色が入りそうだ』とかワイワイしながら作業している光景も、私にとっては新鮮でしたね(笑)」

十勝産亜麻を使ったリネン素材で服を作るということは、当初から思い描いていた理想でもあります。現在はまだ初期段階なのですが、亜麻自体の生産量が足りなく、なかなかすぐには服の製作までには辿り着けないという状況です。今後賛同してくれる方が増えていって、大きなプロジェクトとして動かしていけたら良いなと思っています。」

柔らかで優しい印象のある小野寺さん。そんな小野寺さんが作る自然素材の洋服は、十勝の自然風景にマッチし、着る人にとっての理想の実現に向けてそっと寄り添うものです。
また、そんな小野寺さんだからこそ、十勝や道内での様々な方々とのつながりが生まれ、現在の事業に繋がっているのだなとインタビューの中で感じることができました。
LANDとしても小野寺さんの活動を応援していきます!

LINK

Sjunde himlen.

協力

帯広市経済部経済企画課、フードバレーとかち推進協議会

お問合せ

この記事に関するお問合せはLANDまでお気軽にどうぞ!


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