《令和7年6月16日実施の採択者発表会の様子》
(左上より)株式会社TOKACHI BARON 梁 泰植さん、有限会社大坂林業 中村 隆史さん、松村 幹了さん、
Asian・アイヌ居酒屋ポンチセ 豊川 純子さん、とかち財団理事長 金山 紀久、とかちフルーツビレッジ 林本 健志さん
とかちビジネスチャレンジ補助金は、十勝地域で起業・創業する方や、既存事業の競争力・生産性向上に取り組む挑戦的な企業をより多く輩出することを目的としています。「新たな価値」を創出しようとする起業家や、先導的な「ものづくり・サービス」に取り組む中小企業などに資金の支援を行います。対象者は十勝管内に主たる事業所がある事業者となり、補助上限額はアーリーステージ(設立5年以内の事業者(設立予定を含む))が300万円(補助率:10/10)、グロースステージ(設立6年以上の事業者)が400万円(補助率:2/3)で、事業を拡大成長させる上で必要と認められる経費を対象としています。
本年度も外部選考委員による最終審査を実施し、一次審査を通過した事業者が、事業内容や事業に対する自らの想いや考え方を発信する面談選考に挑み、事業の成長性や熱意・意欲、地域への波及効果などの評価が高かった4者を採択いたしました。
(左)Asian・アイヌ居酒屋ポンチセ 豊川 純子さん、(右)とかち財団理事長 金山 紀久
「Asian・アイヌ居酒屋ポンチセ」は、2020年に帯広の北の屋台で開業した、十勝唯一のアイヌ料理店です。店名の「ポンチセ」はアイヌ語で“小さな家”を意味し、誰もが気軽に集える場所を目指しています。屋台での営業を通して、アイヌ料理を提供するだけでなく、音楽ライブや文化イベントなども企画・開催し、地元住民や観光客がアイヌ文化にふれる場をつくってきました。現在は新店舗への移転を機に、より広いスペースでの文化発信と地域交流の拠点づくりに取り組んでいます。
本事業では、北の屋台で積み重ねてきた文化発信の活動を継続・発展させるため、新たな拠点として市内中心部にステージのある飲食店舗を整備します。店内ではアイヌ音楽の演奏やワークショップ、アート展示などのイベントを定期的に開催し、地元ミュージシャンや工芸作家の活躍の場を創出。補助金は内装工事や厨房設備の整備に活用し、飲食と文化体験を組み合わせた空間づくりを目指します。また、観光・インバウンド対応強化により、地域のにぎわいや活性化にもつながります。
(左)とかちフルーツビレッジ 林本 健志さん、(右)とかち財団理事長 金山 紀久
とかちフルーツビレッジは2023年3月“可能性の種を創造し、豊かな未来に食を繋ぐ”という経営理念のもと、長年培ってきた果樹栽培のノウハウと主産地とのネットワークを活かし、十勝での栽培は難しいと言われていた白桃・黄桃の栽培を音更町にて開始しました。現在は1㏊ほどの農地でハウス栽培、露地栽培合わせて65本8品種の桃、ワイン用ブドウ品種“山幸”を栽培しています。2024年9月に試験収穫を行い、今年度から初出荷を開始しています。また、十勝の食材とフルーツとの架け橋になるために、十勝産のフルーツを原料こだわった加工品の製造販売も行っています。
十勝地域での桃栽培において越冬対策と同様に重要な技術として、降雪地での果物品質、生産量を向上させる方法を確立する必要があると考えています。そこで山形県の帆柱を活用した桃栽培技術を参考に、帆柱設置に必要な資材や機械を購入し、熟練桃農家さんから現場で指導していただくことで十勝型の桃栽培方法を確立したいと考えています。こうして確立した十勝型の桃栽培技術を活用し、十勝にて桃栽培を行いたい新規就農者へ技術支援を行い十勝に新たな桃の産地を創造していきます。
(左)株式会社TOKACHI BARON 梁 泰植さん、(右)とかち財団理事長 金山 紀久
株式会社TOKACHI BARON(※法人登記準備中)は、北海道十勝地域の特産品であるジャガイモをはじめとする農産物を活用し、地域資源を活かした新たな土産菓子の開発・製造・販売を目的に2025年に設立されました。拠点は幕別町の旧杉野菓子店で、1929年創業の歴史的建物を再活用しています。代表の梁は、東京で25年以上日韓ビジネスを展開してきた経験を持ち、また、商品開発はフランス人シェフのフィリップ・バットン氏が監修。地元生産者との連携により、食の魅力とストーリー性を兼ね備えた地域ブランド商品の創出を目指しています。
本事業では、十勝産ジャガイモを主原料とした韓国発祥のスイーツ「カムジャパン(ポテトパン)」をベースに、フランス料理の技法と美意識を取り入れたオリジナル土産菓子を開発し、観光土産およびふるさと納税返礼品として商品展開を行います。築60年の旧杉野菓子店の改修、製造機材の導入、スタッフ育成、デザイン開発、販売チャネルの整備を通じて、観光客や若年層に訴求する“映える”地域特産品の確立を図ります。地元の農家や事業者との連携を通じ、地域経済と観光の活性化にも貢献します。
(左から)有限会社大坂林業 松村 幹了さん、とかち財団理事長 金山 紀久、有限会社大坂林業 中村 隆史さん
有限会社大坂林業は、主に造林用苗木の生産・販売を行う会社です。他にも緑化用苗木生産・造林作業・特殊伐採・薪の生産販売・大径木製材など、林業における「苗木を植え、育てて伐って活用し、また植える」というサイクルのすべてに携わり、林業が抱える多くの課題解決にユニークな手法で取り組んでいます。
本事業では、植栽位置誘導・マーキング装置を開発し、林業現場での実用化を目指します。現在の造林作業(木を伐った後に苗木を植える作業)では、等間隔に印を付けたロープを張り、その印の位置に合わせて等間隔に植栽を行う必要があります。そこでみちびき衛星から位置情報を取得し計画したポイントに誘導することで、ロープの設置や回収作業が不要となり、作業効率が大幅に向上します。
とかち財団では十勝全体の産業振興による地域経済への波及効果を目指し、本補助事業に留まらず起業創業支援・人材育成に力を入れて参ります。
お問い合わせは、とかち財団 事業創発支援部 事業創発グループ/LAND(TEL0155-67-7895)まで。
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